年下カレシに蜜な罠
「…きゃっ」
押される波に耐えきれず、押し出されてそのまま尻もちをついてしまった。
「…うっ、凜久…」
なんだか無性に泣きたい気持ちになってしまう。
負けるもんかっ!
そう思って、立ち上がろうとした時。
「…――瑠璃」
大好きな人の声。
いつも聞いてるはずなのに"学校"ってだけで、その名前が特別に感じる。
差し出された手を握ると、そのまま引っ張って起き上がらせてくれた。
「凜久…っ」
急いで胸元を確認すると、そこにはまだ花は付けられていなくて。
「瑠璃が付けてくれるの?」
もちろんっ!
そう返して、持っていた赤い花を付けてあげる。
緊張して少しだけ、手が震えたことは凜久には…――内緒。