年下カレシに蜜な罠
休み時間、あおいがトイレに席を外した時。
私は薄れた名前がどうしようもなく気になって
もう1度濃く刻むことしにした。
「だ、誰も見てないよね…?」
キョロキョロと教室を見回す。
誰にも見られちゃいけないんだから!
そっと紙を外すと、名前をなぞっていった。
「―――瑠璃」
「ひゃああああっ」
後ろから急に肩をつつかれ、私は小さな悲鳴を上げながら
消しゴムを落としてしまった。
「なにそんなビビってんだよ」
呆れ顔の遊くんが、床に転がっているモノを拾ってしまう。
「――あ、ダメっ」
そう思った時は、もう遅かった。