年下カレシに蜜な罠
なんだか凜久がすごく大人びて見えるのは、…この真新しい制服のせい?
「なんか…凜久がすごく大人びて見えちゃって…私だけ置いて行かれるんじゃないかって不安なの」
俯いたまま、凜久の足元にストンと視線を下げる。
「…なに、それ」
少しだけ、笑いの混じった声が上から降ってくる。
瑠璃のことを追いかけて、いつも必死なのは俺の方だよ?
そんな言葉を聞きながら、私はポケットの中からあのリボンを取り出す。
「あ、それ」
グレーに白い水玉模様のリボン。
そのリボンを凜久の頭にチョコンと付けてあげた。
でも、あの時みたいなあどけなさはあんまり残っていなくて…。
「背伸びなんかしなくていいの。私は…えっと――…」
言いたい言葉は分かっているのに喉の奥に張り付いたまま、うまく言い出せない。
「何…――?」
「えっと、ね…―、私はありのままの凜久が好きだよ」
こうして甘い雰囲気のまま、入学式は始まってしまった。