年下カレシに蜜な罠
体育館の後ろのスペースには、右側に私たち2年生。左側には3年生が、それぞれ中央に開けた1年生が通る道を見つめる。
「ねぇ、凜久くん来た?」
後ろにいるあおいが私の肩に片手を乗せて、背伸びをする。
「…ん、まだみたい……あっ」
たくさんの生徒の中から、凜久の姿を見つける。
背筋を伸ばし、キリッと前を見つめて歩く姿はすごく凛々しい。
* * * * *
「私もずっと1年生が通るの見てたけど、凜久くんがイチバンだった」
私の反応の伺うように、あおいがほぉっとため息をつく。
「そう、だね――…急にカッコよくなっちゃったカンジ」
シュンと肩を落とす私に
「なに言ってんの!瑠璃も充分可愛いってば」
意外と凜久くんの方が、背伸びをして瑠璃のことを追いかけてるんじゃない?
と、続けた。