年下カレシに蜜な罠



――『そういえば、さぁ……』


あの消しゴム、なんて書いてあったの―――?

凜久の、意地悪な笑顔。


もしかして……あの、時。


分かって――た?



――『秘密だよ…ッ』



頭に浮かぶのは、あの日の会話。


カフェオレの湯気の立つ、凜久の部屋。





「あんまり必死に隠そうとする
瑠璃が可愛くて、……だから聞かなかっただけ」



瑠璃ってさ。

俺のこと……
すごい、好きでしょ?



上目遣いで

吐息がかかるくらい
近い距離で


そんな風にささやかれて。






「うん、すき……」

ふたりの距離が焦れったくて。



凜久の温もりを求めるように
 初めて自分から、キスをした。


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