年下カレシに蜜な罠
緩んだ涙腺を、グッと堪えて。
きっと、凜久――怒ってるんだ。
ちゃんと……謝らないと。
「ごめんなさい……保健室にバック置いてあるからとってくるね」
一緒に帰ることが当たり前になっていたから……。
凜久はその場所でピタッと止まったまま動かないから。
聞いてくれているんだと勘違いした私は――。
「急いで取ってくるね……!」
背中を向けたままの凜久に、背中を向けると……保健室へ一直線に走り出す。
「先生ありがとう!もう、帰りますッ」
「……え?ええ……」
ペンを持ったまま驚いた表情で顔を上げる先生を見る余裕もないまま、
保健室を飛び出した……
――はず、だった。