年下カレシに蜜な罠



足がもつれ、視界がぐるりと回り手のひらに砂が付いた。



「――痛ッ…」

つまづいて、転んでしまっても。


凜久は振り向いてくれない。



どうして

どうして――――?



「凜久、お願い……!待ってよぉ!」

もう、
溢れてくる涙を止めることなんて私には無理だよ――。


擦りむけたヒザからは、赤い血が噴き上がる。


コンクリートの上でできた傷は……グラウンドで転ぶよりも深い。



「痛い……」

こんな傷よりも……
心の方が、もっと痛い。


擦りむける……

ううん――、

えぐって
えぐって、えぐられて。


そんな、痛み。


< 232 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop