年下カレシに蜜な罠
傷口に走る鋭い痛みを、どうにか堪えて。
また、凜久の背中を追いかける。
今 追いつかなきゃ――
知らない間に出来てしまった
底が見えないくらい、深い溝を
もう2度と……
埋めることが
出来ないと思ったから。
「凜久、……り、く…」
もう、
凜久しか見えていなかった。
夢中で名前を呼んで
その背中を追いかけて
やっと校門を抜けた所で。
すでに向こう側の道へと渡ってしまっていた凜久を、また追いかける。
――止まることを知らずに。