年下カレシに蜜な罠



「………ん」

次に目を覚ました時、まだ太陽は高い位置にあってホッとした。


どうやら、1時間程眠ってしまったらしい。



ふと、肩に違和感を感じた時。



「……あれ?」

いつの間にか、
肩に感じていた心地良い重みも

小指を握られていた感触も消えていた。



――瑠璃が、いない。



一瞬、
目の前が真っ暗になった時。



――『……りくっ…』

薄茶色の瞳に、涙の粒を溢れる程溜めた瑠璃の顔が浮かぶ。



――『目が覚めたら、凜久がいなくて……それで…』

もしかしたら、あの時こんな気持ちを味わったのかもしれないと。



――目の前が真っ暗になる、喪失感を。


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