年下カレシに蜜な罠



すると、どこからか

パシャパシャと、水音が聞こえてきて。



「凜久、まだ寝てるかな?」

愛おしいほどの、声。



そおっと、茂みをかき分けていくと。



「……ッ」

――ああ、
あの時と同じだ。


目の前に広がる、この光景が。


現実味がないものに見えて。


太陽という名のスポットライトを浴びた瑠璃が

その空間が……


“ここ”とは違う、切り取られた別の世界に見える瞬間。



靴も、靴下も脱ぎ捨てた瑠璃が、岩場に腰を下ろして


細い足先で、水を遊ばせている。


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