年下カレシに蜜な罠



そおっと近づいていったのに、



「……あっ!凜久!」

簡単に気付かれてしまった。



「ふふっ……先に起きちゃって。凜久、気持ちよさそうに寝てたから邪魔しちゃ悪いかなって」


パシャッとより一層高く跳ね上がった水の粒が、キラリと光る。



「……うん、でもビックリした…かも」

「ご、ごめんね……?」


年下で、ワガママな俺と

年上で、自由な瑠璃。




「凜久も、おいでよ」

そう言った瑠璃が、俺に近寄る。


「……へ?きゃあ……ッ」


……え?
デジャヴ――?



「……瑠璃っ!良かった、間に合った」

とっさに瑠璃の腰に腕を回して抱き寄せる。



あの時は、川で転びそうになった瑠璃を助けるのが間に合わなかったけれど。



「ありがとう……」

これからは、ちゃんと間に合わせるから



「目が離せないね、瑠璃は」


――ね?




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