年下カレシに蜜な罠
「今日は雨かぁ……」
なかなかまとまらない髪を触りながら、窓の外に視線を移した。
「いけないっ凜久が来ちゃう!」
制服のリボンと、シュシュの位置をしっかりと鏡の中でチェックして。
「瑠璃ー、凜久くんよー!」
「はーい」
お母さんの声が聞こえたのと同時に部屋を出た。
「行ってきます!」
と、ドアを閉めれば
目の前に広がる灰色の空と、雨で霞む視界。
「瑠璃、おはよ」
こんなお天気も、凜久の笑顔ひとつでガラリと変わってしまう。
「ここからは、瑠璃のかさだね」
私の右手からかさを取ると、それを空に向かって広げた。
灰色の中に咲く、赤い色。