年下カレシに蜜な罠
「さて、と…」
私の髪をまとめ上げた後、立ち上がるあおいを口をポカンと開けたまま見つめる。
「…え、あおい…?」
“いっぱい凜久くんに甘えるんだよ”
意味深な言葉を私の耳元に落とし、その場を離れようとする。
「…えっ?ちょ、あおい?」
「あ…ほら。――もう来たみたいだよ?」
立ち上がるあおいの顔のすぐ後ろには、眩しい光を放つ太陽。
逆行のせいではっきりとは表情は見えないけど、その声質でなんとなくそれは想像出来た。
凜久の姿を視界の隅に捉えた直後、もうそこに…あおいの姿はなかった。
「あれ?今日は瑠璃ひとりなんだね」
「あれ?凜久も…?」
お互い、不思議そうに視線を絡ませながら問い合う。