年下カレシに蜜な罠


「見えないかなっ?」

「…んっ、おっけ」


体育館までの廊下を走りながら聞いてみると、

人差し指と親指でマルを作ってOKサインをしてくれた。





私たちが体育館に着いた頃には、もうほとんど集まっていて。


先生が集合の合図をするまでにギリギリ間に合った感じだ。



「スペース半分空いてるね」

体操をしながらあおいが小声で話しかけてくる。


何時間目が体育かは凜久に聞かなかったから、もしかしたら――。






「はい、そこ立ち位置チェンジ」

バレーが始まっても、そのスペースが埋まる事はなかった。


いけない、こんな事ばっか考えてちゃダメだよね。



「瑠璃―――パス」


私に向かって投げられたボールが宙に高いアーチを描いた。


< 69 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop