年下カレシに蜜な罠
「見えないかなっ?」
「…んっ、おっけ」
体育館までの廊下を走りながら聞いてみると、
人差し指と親指でマルを作ってOKサインをしてくれた。
私たちが体育館に着いた頃には、もうほとんど集まっていて。
先生が集合の合図をするまでにギリギリ間に合った感じだ。
「スペース半分空いてるね」
体操をしながらあおいが小声で話しかけてくる。
何時間目が体育かは凜久に聞かなかったから、もしかしたら――。
「はい、そこ立ち位置チェンジ」
バレーが始まっても、そのスペースが埋まる事はなかった。
いけない、こんな事ばっか考えてちゃダメだよね。
「瑠璃―――パス」
私に向かって投げられたボールが宙に高いアーチを描いた。