鬼憑き
『全館内に連絡、全館内に連絡。木更津秀樹、古野武人両名は至急司令室へ。レティ総司令官がお待ちです。繰り返します。木更津秀樹、古野武人の両名は至急司令室へ――』
「・・・あの、呼ばれてるんじゃ・・?」
放送が終わった後も、秀樹と武人はのんびりと食事する手を止めない。声をかけられてようやく、渋々といった様子で武人がスピーカーを睨み付ける
「・・お前昨日行ってたじゃんかよ。一回で用事済ませてこいよな」
「知るか。あの時の分は終わってる」
「じゃ、ひょっとして・・・」
「任務だろ」
答える秀樹も嫌そうにしているが、武人を前にするとそう見えない。それはもう全身で拒否している
「やだ!ゼッテーやだ!!」
食堂中に響いた叫びは、肝心の秀樹にはあまり相手にはされていない
「我が儘いってる場合か。さっさと行くぞ」
「折角連休になると思ったのに・・他の奴等に回せばいいだろ」
「出来ないからこっちに来るんだ。いいから諦めろ馬鹿」
カロンの呆然とした顔に見送られながら、二人は司令室へと向かった