Doll†Boy

「え…と…三笠君…だよね？」
自分より背の高い三笠君をちらっと見て言った。
「そうだけど…さっき言った。」

三笠君がムッとした。


なんか信じられない。
朝しか見られない日の出みたいな三笠君が今私の右側を歩いているなんて…

「私の事覚えてる？」

一番気になっていたこと。
恐る恐る聞いてみた。


「知らない。」

予想外だった。

知らない。なんて言葉。
覚えてるって言ってくれると思ってた。


ちょっと三笠君に関われたってだけでいい気になってた自分がいた。

私は、他の人と違う。

特別なんだ。

そう思っていた。

三笠君にとって私は、日々の景色にしかすぎなかったんだ…そう思いしらされた。

悲しみで胸が張り裂けそうだった。
それから沈黙が続いた。

そんな事を考えていた内に保健室に着いた。


「ここが保健室だよ！ここの先生ね、いつも外出中って札かけてるけどちゃんといるから気をつけてね!騙されないように！」

くよくよしていても仕方なかった。

ただ振り出しに戻っただけ！

今度は絶対に覚えてもらう！いや、忘れられないようにしてやる！
そう心に誓った。