Doll†Boy
皺の多い優しい祖母だった。

お菓子作りが得意でよく作ってくれた。

その中でもタルトタタンは絶品。

見た目はかなり普通だが味はそこらのお菓子屋じゃかなわなかった。

だが俺が日本に来る2ヵ月前に急死した。


祖母の優しくて温かい手が氷のように冷たくなっていたのを覚えている。悲しい…と言うよりも怖かった。
つい最近まで一緒にいた婆さんが俺の知らない未知の世界に旅だってしまった。
もう二度と祖母の記憶は思い出すまいと思っていた。


「あっ…あの…輝君?」
「あぁ…ごめん、美味しい…」


「何かボーっとしてたよ?」


「気分悪いのか?」


気分が悪いんじゃない。
ただ懐かしいんだ…


婆さんが死んで2ヶ月くらいしかたっていないのにな…


「大丈夫、かなり旨い。」

「だよな!だよな!」


それから色んな話をした。

ゴリちゃんのこと三上って奴のこと壬沙の昔話。


タルトタタンを全て食べて会計する時に聞いてみた。



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