ソレイユ-membres de la famille-
プロローグ
初開店前のひととき
石造りの壁。フローリングの床。
その古くも落ち着いた雰囲気に、合わせるように立ち並ぶ机や椅子たち。
普段は人の多い通りも、さすがに少ない朝の9:00。
ファミーユ第4号店、初の開店1時間前に気合いの入った朝礼が聞こえている。
……はずなのだが。
「あんのバカ! なんで大事な時、しかも大事なポジションで風邪なんかひいてんのよ!」
「その大事なポジションの人が、熱に苦しみながら来たのに、控え室で休ませた人は誰でしょうねぇ~?」
「仕方ないでしょ!お客様にうつしたらマズいし、何より邪魔」
「と、言いつつハル君の事を一番に気にするのがカナちゃんだよねぇ」
「ねぇ~」
「ちゃんとチーフと店長の間柄を聞きたいなぁ」
楽しそうにはしゃぐ3人に、からかわれながら反論する、チーフこと、カナちゃんこと、榊原 叶 (サカキバラ カナエ)は、今回のファミーユ4号店開店の際に、たったアルバイト歴3年なのにチーフとして本店から抜擢された、凄腕のアルバイター。
「で? カナちゃんはハル君と、どこまでしたのさ。もうチューとかした? もはや合体済み?」
この下ネタをさらりと言うのは櫻井 香織 (サクライ カオリ)さん。新しいおもちゃを見つけたかの様な、ニヤケ顔は良く浮かべる。
「ちょっと香織さぁん、朝から下ネタ?」
「でもやっぱりチーフと店長は、そういう関係でしたか」
香織へのツッコミをする少女、宮沢 ちとせ (ミヤザワ チトセ)。
やんわりと香織の便乗をする、秋塚 智恵(アキツカ トモエ)。
店長、叶、香織、ちとせ、智恵は本店からのメンバー。
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