空
「ううん、でも、もう決めたことだから」
「そうか…」
お父さんは少しの間口を閉じていると、
「ならいいけどな。男目当てなら入らない方がいい」
頭には、ふと、先輩の顔が浮かぶ。
「大丈夫、そんな人いないから」
「それに、沙耶も一緒だし」
そう言って必死に作り笑いを浮かべ、走って自分の部屋まで行った。
部屋に入ると、スウェットに着替え、ベッドに突っ伏する。
なんであのタイミングでそうなるの?
確かに、バスケをやっている時の、ボールを突く音と、キュッと鳴るバッシュの音が好
きで、6年間もバスケを続けてきた。
でも、どうしても…。
今、やりたいの。