最大公約数
「お、姫野さん、来たね、新しい先生を紹介するから、そこに座っていて」
「はあ」
Tシャツにサロペットというくつろいだ姿で塾に行き、塾長室に顔を出すと、そこで待っているように言われた。
この塾はあんまりカッコイイ先生がいない。
まあ東大だから仕方ないかな、なんて偏見を持っている。
その代わり、教える先生自身は頭がよく、顔は関係ないから良いと思う。
「こんばんは」
柔らかい声にふりむくと、若い男の人が立っていた。
無造作な髪型に、黒縁眼鏡。
身長は175センチ前後、優しい顔立ち。
優男だな、とあたしは思った。