白いユキ



朝早く、病院にマスターとのぶが来てくれた。



「無事で良かった。」



マスターはほっとしたようにそう言った。



俯いた顔を上げてマスターを見ると…
今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「……!?」



「…妹がいなくなるのは、一人で…十分だから…。」


─ あ…。


呟くマスターの声にあたしは、胸が締め付けられるようだった。



「ごめんなさい…心配かけて…」



「うん…心配した。」



大きな手でマスターがあたしの頭を優しくなでてくれた。



マスターの優しさが嬉しかった。


手から伝わる温かさが嬉しかった。



あたしのことを本気で心配してくれる人がまだいた。



そう思えて…本当に嬉しかった。



見返りを求めない本気の優しさ…



─それだけで、もう十分だよね。







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