白いユキ



母さんの葬儀は、家族だけのひっそりしたものだった。



母さんがいつもそうしてほしいと言っていたと父から聞かされた。




棺の中の母さんは、とっても安らかで…



あたしのせいで、死んでしまったのに…

突然死んでしまったのに…



なんでこんなに安らかな顔なんだろう。




横たわる母さんの胸に母さんが大好きだったカスミ草をそっと置いて、冷たくなった頬に手を添えた。



あたし知ってたんだ。
あたしの霞って名前、母さんの好きな花の名前だって…
兄さんから、聞いて知ってたんだ。




あたし、母さんから逃げてばっかりだった。

ちゃんと向き合わなかった。



今頃素直になってもおそいよね…



─でも…。





「ごめんね……母さん…育ててくれてありがとう……」



あたしは、そう言って最後の別れをした。







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