白いユキ



母さんの葬儀が終わって落ち着いた頃。



のぶから、電話があった。



あの日─
病院で見たのぶは、あたしと顔をあわせてはくれなかった。



─声もかけては、くれなかった。



きっと…ナツのことがあったから…。



電話から聞こえるのは、久しぶりに聞くのぶの声。



「ユキ…大丈夫?」



「うん…だいぶ落ち着いた。」



─変わらない…のぶの声。



ナツとの事で、のぶとはもう会ってもらえなくなるんじゃないかと思っていたから…スゴく嬉しかった。


─よかった。



「お葬式、行けなくてごめん。」



「ううん。……ありがとう。」



「ありがとうって…クスッ…僕、なにもしてないけど?」


受話器から聞こえるのぶの小さな笑い声にほっとした。



「あのさ、明日ユキの都合がよかったら、家に行ってもいいかな。」



「えっ?」



「あの、その…お葬式行けなかったから…」



「…うん、ありがとう。いいよ。」



「良かった…じゃ大学終わってから行くよ。」



「うん。」







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