白いユキ



あの子の父親は、あの子が生まれる前に事故で亡くなっていて、母親と暮らしていたんだけど…
火事でね…母親は亡くなったのよ。



それに、一歳になる妹もね。



ここに来たのは、あの子が五歳になる少し前のことだったわ。



寒い日でね、朝から、雪がちらついていた。



のぶくんは、私に笑顔で挨拶してくれたけど…
ムリしている笑顔だった。



それをよく覚えているわ……。



あの子は、あなたに会えてよかったわ。



私の知っている中で、今が一番生き生きしているから、本当に良かった…。



「これからもよろしくね。」



「はい。」



園長先生は微笑んだ。








「ねぇ、ユキ。さっき何話してた?その、園長先生と……」



杏園からの帰り道のぶが聞いてきた。



「内緒。」



「ふーーん。」






─のぶに妹がいたなんて…


火事って。



のぶが五歳で妹が一歳なら、4つ違い…か。


生きていたら、あたしと同じ年だ。




生きていたら、仲良くなれたかな……。



ぼんやりとそんなことを考えていた。







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