白いユキ



兄さんの部屋の壁には、沢山の写真が貼られていた。



写真好きの兄さんは、高校のクラブでも写真部に入っていた。



あたしもよく、撮られていた。



瞼を閉じれば、今も、シャッター音と、兄の笑顔を思い出す。



壁を見上げると、制服姿の兄の写真が、目に留まった。



兄と肩を組んでなかよさげにニッコリ笑う二人。
今より、少し幼いその顔は…


「の、ぶ…!?」




笑顔の二人は紛れもなくのぶと和希兄さん……。
突きつけられた真実にあたしは、茫然としていた。


いつもあたしに何でも教えてくれた和希兄さん。


今のあたしの質問にも答えてくれただろうか。。?



─和希兄さんとのぶはいつ知り合ったの?


─のぶは…知っていて、あの日あたしに声をかけたの…偶然みたいに。あれは、演技だったの?



「和希兄さん…………教えて、よ…」







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