白いユキ




「…なんでしょうか?」


応接コーナーのソファーには、山口先生と向かい合うように30代ぐらいの若い男性が座っていた。


この学校の関係者ではない─初めて見る顔だった。



「まあ、ここに座れ。」


山口先生に促されて、あたしは、男性に軽く会釈して先生の隣りに座った。



「惣領、コイツは、S高の松宮先生だ。」



「こんにちは、松宮です。」


「…惣領霞です。」


─いったい何なんだろう?



「松宮先生は俺の大学時代の同期で、以前、東和高校にいたんだ。」



─東和高校!?……和希兄さんが行っていた高校…

あたしは、かなり驚いた顔をしていたのだろう。


「…ああ、やっぱり…惣領くんの妹さんですね?」


「えっ?」



「ああ…いえ、すみません。僕、東和高校にいたとき、写真部の顧問をしていて─惣領くんがよく、写真を見せていてくれたんですよ。」


「あなたの写真を。」



「……」

─確かに、よく、写真は撮られていたけれど─。


松宮先生は、あたしの顔を見てふっと笑うと、



「山ちゃん?すまないけど…二人で話したいんだ…いいかな?」


山口先生に向かってそう言った。



「んっ?あ、まあ、かまわないが……手、出すなよ?俺の可愛い生徒だからな。」


「……」


松宮先生は、笑顔で


「ああ、心得ている。」

と言った。







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