白いユキ



松宮先生は、立ち上がるとあたしの隣りに座った。


─!?


それから、凄く自然にあたしの耳元に顔を近づけて


「真っ赤になって…可愛いね。」

と囁いた。


─!?!?!?


突然のことに驚いて、顔が熱くなる。


─この人は今日初めて会った生徒に…しかも職員室で、何考えてるんだろう!?


あたしは、ソファーの端に身を寄せて、警戒心ありありで松宮先生を見た。





「…冗談だよ?」

松宮先生は、そう言って笑ったけれど……。


「……」

─兄は、どうしてこんな先生に、預けたんだろう?



山口先生が『…手、出すなよ。』とくぎを差すように言った意味がわかって、あたしは、眉をひそめた。




「…名前がね惣領だと聞いたからもしかして?と思ってね。後は、顔を見ればわかるか…と思って─」

「なにせ、アルバム五年間預かっていたから。─それにあまり変わっていないから─でも、綺麗さは増したな…」


「思わず、口説きたくなるくらい。」


「!?!?」


もう、呆然として声も出ないあたしを見つめて優しく笑うと



「…じゃあ、そろそろ本題に入ろうか?」



そう言った。







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