白いユキ



松宮先生は、鞄からアルバムと手紙を二通出した。



そしてあたしの顔を見て言った。



「和希くんから君は、多分何も聞かされていないようだけれど…彼は、ずっと妹に隠し事をしていると言っていた。」


「隠し事…。」


「そう、大事な約束だからやぶれないとも言っていたよ。」


「あんまり真剣に話すものだから、僕もついのめり込んでしまって…ほっとけなくてね…預かってしまった。─見つかると困るからって…」



松宮先生は、兄が突然亡くなったものだから、部室にずっと置きっぱなしにしていたんだと言った。


翌年度にS高へ転勤になってそのまま持って来てしまったらしい。


山口先生から、惣領という生徒の話しを聞いて、もしかして…と思い持って来たと言った。




「確かに、渡したよ。」

松宮先生は、そう言ってニッコリ笑って、


「今度は、デートでもしたいなぁ。」


とあたしを見つめて目を細めた。







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