白いユキ
家に帰ると珍しく早く父は帰っていた。
「おかえり。遅くないか?」
「うん。」
どうきりだそうか迷って立ち尽くすあたしに、心配そうに父が声をかけてきた。
「何か、あったか?」
「うん。」
「……?」
「…あのね、今日、手紙を…和希兄さんの手紙を渡されたんだ……。」
「!?…和希の手紙?」
驚く父さんに(父さんへ)と書かれた手紙を渡した。
父は何も言わず手紙を受け取ると
「霞……ありがとう…。」
そう言って書斎へ向かった。
あたしは、手紙に何が書かれているのか…すごく気にはなったけれど
去って行く父の背中がもの寂しげに見えて、声をかけることは出来なかった。
その日はそのまま父は書斎から出ては来なかった。
*