白いユキ
カラン……
「ごめんー!緒田さん!遅くなった!」
女の人が息をきらして店へ入って来た。
─誰?…。
長いキレイなつやのある黒髪。
カラスの濡れ羽色。
─綺麗な人。
女の人は、入り口で息を整えると、あたしのいるカウンターへと近づいて来た。
「………」
「緒田さん、ごめん間に合った?」
女の人がマスターに尋ねる。
「ああ、大丈夫だ。」
「よかった。」
女の人は、マスターから視線を外して、あたしを見つめた。
「……あなた、ユキちゃん?」
─!?……誰?
あたしの戸惑う顔に気づいたマスターが言った。
「ユキ。彼女はアキ、松田燿(マツダアキ)……。」
綾の妹だ。
「えっ?」
*