白いユキ
*秘密「ヒミツ」
─ズキンッ!─
「…い、つっ─!」
指輪のウラを見てしまってから、
あたしは、左腕に、鈍い痛みを感じるようになっていた。
…左腕、手首の辺り、
数本のリストカットの跡。
もう、随分経って、傷も前程、目立たないのに─
その傷は、ほんの数分前、切りつけたように痛んだ。
あたしは─
あの日から、なんだか、ナツに会うのが気まずくて、
もう、二週間もあっていない─
普段は、週に1回は必ず会っていたのに─
─指輪のウラの AYA の文字。
あたしは、ふとした時に思い浮かぶその名前に、おかしくなるくらい─
執着していた。
胸の奥が、ムカムカするこの気持ち─
吐き気がする。
*