白いユキ





夏樹さんがはめているあの指輪は




夏樹さんの、自分自身への罰なのよ。




「罰?」




そう…姉さんを守れなかった……初めてじぶんから、好きになった人を守れなかった事への償い。


繰り返さない為の自分自身への戒め。








「そうだな。」



「俺が知っている限りでは、あの指輪を外したのは、後にも先にも一回こっきりだな。」



マスターはタバコをくわえると、煙をはきながら、言った。




「ユキに初めて声をかけたあの時だよ。」



「!?」



マスターのハク、タバコの煙が天井へと登っていった。








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