白いユキ





「おはよう。」



「おはよう……霞?」



「ん?」



父さんの心配そうな声がする。



「…顔色が悪いな……」


ポツリと父が呟いて、父の手があたしのオデコにのびてきた。



「熱は…ないようだな。」



「ん。大丈夫。…遅れるからもう行くね。」



「ああ」





心配かけたくない。


父も仕事が忙しいみたいだから。


─最近、毎日遅いもんね。



あたしは、ここの所ずっと眠れずにいた。


浅い眠りを繰り返して、じっくりと深く眠れない。


正直、もう限界だった。




「霞!!」



急に父に声をかけられて、振り向いたとたん─



グラッ………



視界が揺れて、目の前が真っ白になった。



あたしは、その場に倒れ込んでいた。







意識が遠ざかった。







< 166 / 215 >

この作品をシェア

pagetop