白いユキ
「ユキ?……泣いているのか?」
聞きたかった声。
「何で?…どこか痛いのか?」
優しい…大好きな声。
あたしは、ゆっくりと首を横に振った。
「…嬉しくて……」
「えっ?」
「嬉しくて……会いたかったから……ナツに。」
「…………」
「……好きなの…ずっと……」
初めて会った時から、
ナツにどうやって声をかけようかと迷っている時から
あたしはナツに惹かれていた。
「……ナツのこと…本気で好きなの………」
あたしの左手を握るナツの左手の薬指には、指輪は無かった。
ナツは静かに立ち上がると、あたしの頬にてを添えて、軽くキスをした。
優しく……
とても愛しむように…
唇を離すと、あたしを見つめて
「俺も…初めて声をかけたとき、初めてユキを見た時から……好きだった。」
「ごめん…」
涙をナツが指で拭ってくれた。
「きっと、俺の方が先にユキに堕ちていたよ。」
ナツはそう言って優しく笑った。
*