白いユキ





「霞、父さんの昔話を聞いてくれるかい?」



「……」


あたしの無言の返事を了解ととって、父さんは話し始めた。



あたしは、震えてしまう手で、隣のナツの手をそっと握った。



ナツは、何も言わずあたしの手に、もう一つの自分の手を重ねてくれた。








「霞…霞を産んだ人は、関口由美と言うんだ。」


「彼女は、私の高校時代の恋人だった。

私たちは、愛し合ったけれど、…家柄のことで、親に反対されて……

若すぎた私たちは、結局逆らえずに、別れてしまった。


お互い、好きなままで……。」






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