白いユキ



俯いていた顔を上げると
のぶがあたしをじっと見ていた。




「……のぶ?」


声を掛けた瞬間…のぶの手が肩に延びてきて
あたしは、ソファーに押し倒された。



二人の重みでソファーがぐっと沈む。



「…………」

「…………」


部屋が静まり返って…あたしは、息を呑んだ。


のぶの目が恐い。


真剣な男の目。




のぶの手があたしの両手をあたしの頭上で押さえつける。


「っ……やっ!!」


すごい力……押さえつけられた手首が悲鳴をあげる。



のぶが恐い。


そう、初めて感じた。




のぶの目があたしの目を見つめる。


一瞬、のぶの目が揺らいだ気がした……。



でもそれはほんの一瞬だけで……。




のぶの重みで、動けない……逃げられない。






< 200 / 215 >

この作品をシェア

pagetop