白いユキ
声が出ない。
……止めて!と叫びたいのに……
あたしの首筋にのぶの唇が落とされる。
「くっ……!?」
首筋から、胸元へ唇が移動する。
─どうして、こんなことするの?何で?
いやだよ……お兄ちゃん。
ビクッ……!!
のぶの体が揺れて、止まる。
「……こんなの……やだよぉ……こんなの……ごまかすみたいに………こんなの…」
あたしは、泣いていた。
「……ユキ。」
「……お兄ちゃん。やだよぉ……」
自由になった両手で、あたしは、顔を覆った。
涙が止まらない。
「ごめん…………。」
「…………」
「……ちょっと、頭冷やしてくる。」
のぶは、そう言って部屋を出た。
バタンッ……
ドアの閉まる音が、静かな部屋に、やけに大きく響いた。
*