白いユキ



声が出ない。






……止めて!と叫びたいのに……



あたしの首筋にのぶの唇が落とされる。



「くっ……!?」



首筋から、胸元へ唇が移動する。



─どうして、こんなことするの?何で?



いやだよ……お兄ちゃん。











ビクッ……!!


のぶの体が揺れて、止まる。









「……こんなの……やだよぉ……こんなの……ごまかすみたいに………こんなの…」



あたしは、泣いていた。


「……ユキ。」


「……お兄ちゃん。やだよぉ……」



自由になった両手で、あたしは、顔を覆った。



涙が止まらない。







「ごめん…………。」



「…………」



「……ちょっと、頭冷やしてくる。」


のぶは、そう言って部屋を出た。



バタンッ……




ドアの閉まる音が、静かな部屋に、やけに大きく響いた。






< 201 / 215 >

この作品をシェア

pagetop