白いユキ



杏園へユキを連れて行った時から、


園長先生にユキを会わせた時から、


ユキの愛した人が僕じゃなく、あの男だと気づいた時から、


覚悟はできていた。




妹だって言わないといけないと。





『少しでもユキに気付かれたら、絶対に言うんだ。』



そうあいつと約束したから。



ユキを手放したくなくて、随分悩んだけれど


君の幸せを考えたら、こうするのが、一番なんだと気づいたから。



でも自分から、切り出すことがどうしても出来なくて



君を杏園に連れて行き、君が気づくように仕向けた。




僕が、あいつとの……和希との約束を守らなければならないようにする為に。



最後に臆病になったんだ。





君を愛してしまったから。



妹として見ることが辛くなってしまったから……





……ごめん…ユキ。




…悪い兄さんだ。




兄、失格だよな…。








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