白いユキ



「今は、家に居る─…正直に言うと─…お前に逢いたいと駄々をこねられて、困っているところだ。」

父は、又、苦笑する。


「そう、ですか…」


あたしは、膝に乗せた手が、微かに震え出すのを感じた。


自分じゃ止められない、感覚─


─ダメだ…─


母の話しになると、何時も体がゆうことを利かなくなる─
自分がコントロール出来ない…。


父は、あたしの様子に気づき、隣に座って、
あたしをふわっと抱きすくめた。


「大丈夫、霞─大丈夫。」

父は、何度も何度もあたしをなだめるように、耳元で繰り返す。




数分後─


震えが、治まった。


感覚が、元に戻る─

あたしが、あたしに戻ってくる─






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