白いユキ



「霞─ごめん、父さんのせいだな…」



「…お父さんのせいじゃないよ…あたしが、悪いんだから…」



「違う!─和希が、いなくなった時に、母さんの異常に気付かなかったわたしの…せいだよ…」



「お前のせいなんかじゃ…決して、ないんだよ…」

父が静かに、目を伏せた。



父は、自分を責めている。
仕事で、家庭を顧みなかった自分を、責めている…

この5年間、あたしたち家族は、兄の死をきっかけに、思いが…空回りしている。



兄が居なくなったあの日から、父も、母も、あたしも、一歩も進めないでいる。



どんどん移り変わる季節とは、裏腹に、あたしたち家族は、凍り付いたままでいた。







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