白いユキ
─外側に鍵の付いた、あたしの部屋のドア。
─中からは、開けられない鍵…
あたしは、ドアを開け放したまま、部屋に入った。
机の引き出しを開けて、筆箱やら、いるものを全部、鞄へ入れていった。
─カントリー調の家具や、壁紙─
全部、母の趣味で揃えたものだ。
あたしは、そういう物は、好きじゃなかった。
兄が死んでから、あたしは、本当のあたしを、心の奥に押し込めて…
母さんの気に入るように
母さんを悲しませないように
母さんを怒らせないように─
あたしは、母の顔色ばかり、窺(うかが)っていた。
そうしなければ、あたしの存在する理由がこの家には、無いように思っていたから…。
この家も、あたしも、あたしの周りの全てに─
母の目は、行き届いていた。
それは、過保護と言う名を語った─
母のエゴだった…。
*