白いユキ



「あの、何時も、この席ですね…」


「……落ち着くんです、この席。」


あたしは、彼を見上げた。

視線が合ったけど、彼はふっとそらせた。



─顔が赤い。


彼の緊張が…手に取るようにわかる。



「あの、後30分ほどで、僕の勤務時間、終わるんですけど…」


「……」


「…この後、予定あいてますか?」



声は普通なのに…
顔は、耳まで真っ赤にして聞いてくる彼に、あたしは、凄く可笑しくて、
クスクス笑ってしまった。



「あの…。」


心配そうに、あたしの顔を見る彼。



「…ごめんなさい…クスッ…あいてます。」
「あたしで、よかったら…」



「えっ!はいっ!!ありがとうございます!…えっ、あっ、…すみません…じゃなくって!」


─ホント、面白い。






< 42 / 215 >

この作品をシェア

pagetop