白いユキ



和希兄さんは、あたしの4つ違いの兄だった。



後継ぎとして、生まれた兄は、凄く賢くて、まわりからも信頼されている─あたしの自慢だった。


そして、母の自慢の息子だった…。





─母は、兄を溺愛していた。




母は、大きな病院の後継ぎの嫁に来て大変だったと、いつも、漏らしていた。


「和希を生んで、私はやっと、惣領家の家族になれたのよ。─和希を産んで良かった…。」


母は、よく、そう言っていた。



あたしは、和希兄さんが羨ましかった。



─産んで良かった…
母にそう言われるのは、いつも、和希兄さんだけなんだ…。



あたしは、心のどこかで、和希兄さんに嫉妬していたよ。









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