白いユキ



─どれだけ、泣いていたんだろう…



顔を上げると、壁に、掛けてある姿見に、自分がうつっていた。



泣きはらした顔の、
マヌケで、醜いあたし。


あたしは、耐えきれなくなって、そばに、あった物を鏡に、向かって投げつけた─



ガシャーン!!

すごい音がして、うつっていたあたしが、ばらばらになった─



飛び散った、鏡の欠片があたしの頬をかすって、


指でなぞると、血がでていた。



「……」



鏡の欠片を、拾い上げて、あたしは、左の手首に、それを押し付けた。



─滴り落ちる、血。



あたしは、ポタポタと床を汚していく、自分の血を見ながら、



あたしの中の汚れたものが、無くなっていく…
そんな錯覚に捕らわれていた。






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