白いユキ
─母さん…なぜ、ここにいるの?…何で……
…気づくと、店のソファーに寝かされていた。
見上げると、マスターの顔…心配そうにあたしを見つめる顔。
あたしの問いかけるような目に気づいたのか、ボソッとマスターが呟いた。
「…そんなに長くない。30分ほどだ…」
「帰って、もらったから。…すまない…母親だと聞いて、入れてしまった。」
そう、申し訳なさそうに言った。
「ううん…ごめん…マスターは悪く無いから…」
─あたしのせい。
「あれは、…母親なんだろ?」
マスターの言葉にあたしは、体が、ビクッと揺れてしまった。
「……」
「あっ、いや…話したくないなら、いいんだ。」
だけど、
「ユキを見る目が、恨んでるような、愛おしく見るような……」
「……」
「ユキを見ているのに、お前の中に…誰かを探しているようだった。」
「……」
「…余計なことを言ったか…すまない。だだ…気になってしまって…」
「…母さんは…兄さんを、死んだ兄さんを探しているの…」
そう言った自分の言葉に涙がこぼれて、
あたしは、目をとじた。
*