白いユキ



…気づくと、

あたしは、病院にいて、

そこに、座っていた。



駆けつけた父さんがあたしを見て、



「よかった…」



と言った。



「何が…よかった…の?」


あたしは、父さんを見上げた。



あたしの言葉にか、そうでないのか分からないけれど、見上げた父さんの顔は、

強ばっていて、真っ青だった。



あたしの手を父さんは、握ってくれたけど、微かに震えている父さんの手に、あたしの手は、何も感じることは、出来なかった。


温かさも、何も、感じなかった。




あたしは、もう、本当にどうでもいいと思っていた。



なんで、あたしは、願っても、願っても、こんなことになるんだろう。



ほんのちょっとの幸せを感じたいだけなのに。



あたしのせいで、みんな傷ついていく。



もう、いなくなりたい。


消えてなくなりたいよ。






< 94 / 215 >

この作品をシェア

pagetop