ペロ
『アンタの名前はペロよ。 安直かもしれないけど、アンタには一番似合っているもの。』
突然『ペロ』と名付けられた子犬は、長い舌を出してノリコを見つめている。
(可愛いな・・・ 雑種かな? )
薄い茶色の毛に、垂れ下がる大きな耳。
足の先だけが真っ白だ。
毛はフワフワと心地好い。
『ペロ!!』
大きな声で呼んでみると、子犬は嬉しそうにノリコの膝に前足から飛び乗り、また頬を舐めた。
『もう、泣いてないってばぁ
ペロ、やめて〜キャハハっ』
こんな風に笑えたのは久しぶりだったということに、自ら驚いてしまう。