ペロ
ノリコの済むマンションは、ペットの飼育は小型犬に限り許可されていた。
(小型犬・・ で通るよね?)
ペロがどういう犬種で何歳であるのかとか、何もわからない。
わかるのはオスであることぐらいだ。
ただ、傷ついたノリコにとって、ペロの存在がありがたかった。
ペロはトイレの躾などもすぐに覚え、ノリコを困らせるようなことはなかった。
隆也から贈られた掛け時計がお気に入りなのか、規則的に動く秒針を見つめるペロの真剣な黒くてまぁるい眼が、可愛くて仕方なかった。