ペロ
ペロが来てから二週間が経った。
季節は初夏を迎える頃、ノリコは、愛するペロに、日よけ対策としての白いシャツをこしらえた。
着せてみると、まんざらでもなさそうにウキウキしているのがわかる。
喜んで玄関のドアの前で飛び跳ね、〔散歩に行こうっ〕の合図を繰り返すペロ。
しかし玄関を出ると、突然車道へ勢いよく走り始めた。
『ペロっ!!ダメ、ダメだって・・・』
ノリコはリードを持つ腕に力を篭める。
ペロの首輪が脱げる。
トラックが迫ってきた。
『ペロっ だめぇぇっっ』
ノリコは無我夢中でペロを追い掛け、車道に飛び出ると、そのまま帰らぬ人となった。