ペロ
『ねぇっ この子、生きてるよっ。 拓!! 』
子犬は大きな耳をプルプルさせながらエリカの腕に頭を載せた。
『やだ・・・ 可愛い、ねぇ、大丈夫そうだよっっ 』
拓郎はうんざりしていた。
(このまま飼いたいとか言われたら困る・・・)
『大丈夫なら、隅に離してやれよ。 こんな山道で拾って帰るわけにはいかないんだし・・・』
拓郎は車のドアに手をかけた。
『拓!! 信じられないわっ。アンタが轢いたのよ? 何て無責任なことを・・・』
その時、エリカの腕に横たわっていた子犬がスルリと身を交わすと、軽快に脇道へ走り出した。
二人が我が目を疑った瞬間、目の前のカーブから勢いよく大型トラックが現れた。
『あ、あぶないっっ エリカ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』